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第8話 神級魔導士と悪魔祓い④

Author: アイさん
last update publish date: 2025-12-19 11:55:28

「うわぁぁ!もう2人ともなんでこんなに強いのよぉ!」

この2人の衝突に巻き込まれたくないミーナは建物の陰に避難した。

2人は剣を交じり合わせながらお互いを褒めた。

「俺の双剣を直で受け止めた人はもしかしたら君が初めてかもしれないね。」

「お前も、俺の剣を受け止めるとは中々だな。」

「それは光栄だね。じゃあこれはどうかな?」

カイルは一旦グレンから離れると横一直線に2つの剣を振った。

するとグレンのそばにあった建物が斬れて上からぐずれ落ちてきた。

その建物の残骸を刀で真っ二つにし、再びカイルに近づこうとした。

「俺がこんなヤワな攻撃でダメージを与えれるわけないだろ。」

そしてカイルに斬りかかろうとしたその時。

「…!?なんだ!体が動かねえ!」

突然グレンの体が斬りかかろうとしたポーズから停止した状態になり、どんなにあがいても動かせなかった。

「分かってるよ。君に小細工は通用しないって。でもね、俺には最強の影の領域があるんだよ?」

よく見るとグレンの足元にはカイルが広げた円状の影の領域に入ってしまっていた。

「俺の影はいわゆる絶対領域だ。君はこの影からどう逃げ切る?」

カイルはそのまま剣を上から振り下ろそうとした。

「絶対領域か。なるほど、確かにこの魔法は並の人間じゃ手も足も出せねえな。だが…」

するとグレンの足元から光が漏れた。

「俺は並の人間じゃねーんだよ。」

その瞬間、グレンの足元の光が強くなった。

光が強すぎるため、グレンの足元だけ影が消えてしまいその間にグレンは空間移動で領域の無い所に移動した。

「うっ!…眩しい…!」

「隙だらけだ!」

眩しさで目を閉じたカイルにグレンは高速の蹴りで建物の壁まで吹っ飛ばした。

吹っ飛ばされたカイルは口から血を吐き捨て咳き込んだ。

「ゲホ…ゲホ…まさか俺の領域を抜け出すとは…」

「俺にそんな単純な魔法は通用しない。どうする?まだやるか?」

「まさか!俺もそうと分かれば本気を出してやるよ!」

するとカイルの双剣が影を纏うと剣が黒く変色した。

「黒帝剣技!蛇貫!!」

そう言って剣を振ると剣から二体の影で出来た巨大な蛇が高速でグレンに向かって襲った。

あまりの速さに光魔法が追いつかなかったグレンはそれを刀で受け止めようとした。

しかし、影の蛇の威力が強すぎるため力で押し返されてしまい、そのまま後ろに吹き飛ばされた。

「ぐわああ!!」

影の蛇は吹き飛ばしても攻撃を止めず、まるで生きているかのようにグレンに再び襲いかかる。

「くそ!まるで生きてるみたいだ!」

影の蛇を刀で軌道を逸らそうと弾くが何度弾いても襲ってくる。

「くそ!黒炎よ、吹き飛ばせ!」

グレンは呪文を唱えると体の周りから黒い炎が噴射し影の蛇は形が崩れ、カイルの双剣に戻った。

「俺の影を消し去るその黒炎!それが君の本気だな。…おもしろい、受けて立とう!」

カイルは黒に染まった双剣を構えた。

「なら、遠慮なくやってやろう。黒炎の力を見せてやろう!」

グレンは体全体に黒炎を纏うと、高速でカイルに向かった。

「うぉおお!!」「うぉおおお!!!」

2人の剣が再び衝突しようとしたその時だった。

2人の剣が交ろうとした時と同時にベガに異変が起こり、その場所から大きな爆発音がなった。

「なっ、なんだ?今の音は。」

2人はベガが倒れてる方から聞こえた音に気付き、そっちの方に視線を向けた。

倒れているベガは体から黒い血の様な物が流れていたため、さっきの音はこいつの体が破裂した音だった。

しかし、次の瞬間。その血が地面に染み込むと地面から黒い根が生えてきた。

その根はベガを取り込むと次第に大きくなり、周りにある建物も取り込もうとしていた。

「なっ、なんだあの黒い根は!どんどんおっきくなるぞ!」

「きゃああ!!グレン!助けてぇ!!」

危うく黒い根に取り込まれそうになったミーナは全速力でグレンの元に走った。

「あの黒い血。もしかしたらあの血に含まれた魔力が地面の根っこの養分になって、根っこが異常に成長してるんだ!このままだとこの国ごと飲み込まれるぞ!」

「うそだろ。おい、グレン!あれは流石に俺の黒帝剣技でも止める事は出来ないぞ!どうするんだ!」

カイルは異常な成長を果たす黒い根っこが恐ろしくて焦っていた。

しかし、グレンはこれを見ても動じずカイルにこう言った。

「大丈夫だ。お前、あの根っこの成長を妨げ続けろ。その間俺は魔力を高めておく。」

「はあ!?どうやってだよ!」

「簡単な事だ。お前の絶対領域で根っこを斬り続ければいい。止める事は無理でも根っこが侵食する事はないだろ。」

「それくらいなら出来るが、お前あの根っこの成長を止める事が出来るのか?」

「出来る。だからとっととあの根っこを斬りまくれ!」

カイルにそう言うとグレンは黒炎を刀に纏わせ、魔力を溜め続けた。

そしてカイルもグレンが言った事を信じ、黒い根っこを斬りまくる。

「うおおおお!!!!」

カイルは絶対領域を広げたまま黒い根っこを斬りまくっていた。

しかし、黒い根っこは斬られても成長が止まる事はなく、侵食しようとしていた。

「はぁ、はぁ、うお!!…くそ!なんて成長速度だ!斬っても斬っても追いつかねぇ!フンッ!」

カイルは黒い根っこを斬り続ける手を休める事なく斬り続けた。

しかし、いくら神級魔導師だからと言って魔力がなくなる事は無くても剣を振るう体力がどんどんと消耗していくのは見ただけで誰でも分かる。

「おいっ!…グレン…フンッ!…一体…いつま…で!魔力溜めてるん…だっ!」

「…そうだな…あと、7分は掛かるな。」

「なっ!…そんなに…待てねえよ!」

「待てなくてもいいさ。待てなければこの国の人間全員死ぬだけだ。」

「なっ!?…フンッ!…くそぉ!!…俺は騎士だ!だったら全員護ってやるよ!」

「さすが騎士団団長だな。やる事も言う事も他の騎士とは違うな。」

口ではこう言うカイルも体はもうボロボロで立っているのもやっとの状態だった。

くそっ!…体が思う様に動かせない!…このままだと本当にマズイ…

カイルはそう思いながらも歯を食いしばりながら剣を振るった。

しかし、何度も振ってるせいで手に出来た血豆が破れて血が流れ、腕の筋肉が痙攣し始めてきた。

マズイ…腕が震えて感覚が鈍く…

手に力が入らなくなったカイルは誤って剣を一本落としてしまった。

あっ…しまっ…た…

その瞬間、黒い根っこの成長速度が一気に上がった。

「やっ…やばい!…くっ!」

カイルは一気に侵食してくる黒い根に焦り、もう片方の剣で食い止めようと両手で剣を強く握りしめた。

「うぉぉぉぉお!!!」

カイルはがむしゃらに剣を振り回した。

手から血が出て、筋肉が痙攣して震えていても剣を振るう事を止めることはなかった。

(あの人間なかなかやるな!騎士団の団長っていうのは根性なしの傲慢なクズだと思っていたがあいつは本物だな。)

グレンの中で見ていたリフェルはカイルの必死さを見て感心していた。

「感心してる場合じゃないわよ!このままだとカイルさん死んでしまうわ!」

(死なねーよ。てめーも人間ならよく見てろ。覚悟のある人間の勇姿をよ!)

リフェルの言う通り、カイルはボロボロになりながらも諦めてはいない。

この国を護る、そして1人の人間として決して諦めないという心がカイルに力を与えているのだ。

俺は…俺は諦めない!絶対に諦めたりはしないぞ!この国は絶対に……この国を…エミルが愛したこの国を俺は守ってみせる!

カイルの頭の中で短い髪をした女性のシルエットが浮かんだ。

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