登入「うわぁぁ!もう2人ともなんでこんなに強いのよぉ!」
この2人の衝突に巻き込まれたくないミーナは建物の陰に避難した。 2人は剣を交じり合わせながらお互いを褒めた。 「俺の双剣を直で受け止めた人はもしかしたら君が初めてかもしれないね。」 「お前も、俺の剣を受け止めるとは中々だな。」 「それは光栄だね。じゃあこれはどうかな?」 カイルは一旦グレンから離れると横一直線に2つの剣を振った。 するとグレンのそばにあった建物が斬れて上からぐずれ落ちてきた。 その建物の残骸を刀で真っ二つにし、再びカイルに近づこうとした。 「俺がこんなヤワな攻撃でダメージを与えれるわけないだろ。」 そしてカイルに斬りかかろうとしたその時。 「…!?なんだ!体が動かねえ!」 突然グレンの体が斬りかかろうとしたポーズから停止した状態になり、どんなにあがいても動かせなかった。 「分かってるよ。君に小細工は通用しないって。でもね、俺には最強の影の領域があるんだよ?」 よく見るとグレンの足元にはカイルが広げた円状の影の領域に入ってしまっていた。 「俺の影はいわゆる絶対領域だ。君はこの影からどう逃げ切る?」 カイルはそのまま剣を上から振り下ろそうとした。 「絶対領域か。なるほど、確かにこの魔法は並の人間じゃ手も足も出せねえな。だが…」 するとグレンの足元から光が漏れた。 「俺は並の人間じゃねーんだよ。」 その瞬間、グレンの足元の光が強くなった。 光が強すぎるため、グレンの足元だけ影が消えてしまいその間にグレンは空間移動で領域の無い所に移動した。 「うっ!…眩しい…!」 「隙だらけだ!」 眩しさで目を閉じたカイルにグレンは高速の蹴りで建物の壁まで吹っ飛ばした。 吹っ飛ばされたカイルは口から血を吐き捨て咳き込んだ。 「ゲホ…ゲホ…まさか俺の領域を抜け出すとは…」 「俺にそんな単純な魔法は通用しない。どうする?まだやるか?」 「まさか!俺もそうと分かれば本気を出してやるよ!」 するとカイルの双剣が影を纏うと剣が黒く変色した。 「黒帝剣技!蛇貫!!」 そう言って剣を振ると剣から二体の影で出来た巨大な蛇が高速でグレンに向かって襲った。 あまりの速さに光魔法が追いつかなかったグレンはそれを刀で受け止めようとした。 しかし、影の蛇の威力が強すぎるため力で押し返されてしまい、そのまま後ろに吹き飛ばされた。 「ぐわああ!!」 影の蛇は吹き飛ばしても攻撃を止めず、まるで生きているかのようにグレンに再び襲いかかる。 「くそ!まるで生きてるみたいだ!」 影の蛇を刀で軌道を逸らそうと弾くが何度弾いても襲ってくる。 「くそ!黒炎よ、吹き飛ばせ!」 グレンは呪文を唱えると体の周りから黒い炎が噴射し影の蛇は形が崩れ、カイルの双剣に戻った。 「俺の影を消し去るその黒炎!それが君の本気だな。…おもしろい、受けて立とう!」 カイルは黒に染まった双剣を構えた。 「なら、遠慮なくやってやろう。黒炎の力を見せてやろう!」 グレンは体全体に黒炎を纏うと、高速でカイルに向かった。 「うぉおお!!」「うぉおおお!!!」 2人の剣が再び衝突しようとしたその時だった。 2人の剣が交ろうとした時と同時にベガに異変が起こり、その場所から大きな爆発音がなった。 「なっ、なんだ?今の音は。」 2人はベガが倒れてる方から聞こえた音に気付き、そっちの方に視線を向けた。 倒れているベガは体から黒い血の様な物が流れていたため、さっきの音はこいつの体が破裂した音だった。 しかし、次の瞬間。その血が地面に染み込むと地面から黒い根が生えてきた。 その根はベガを取り込むと次第に大きくなり、周りにある建物も取り込もうとしていた。 「なっ、なんだあの黒い根は!どんどんおっきくなるぞ!」 「きゃああ!!グレン!助けてぇ!!」 危うく黒い根に取り込まれそうになったミーナは全速力でグレンの元に走った。 「あの黒い血。もしかしたらあの血に含まれた魔力が地面の根っこの養分になって、根っこが異常に成長してるんだ!このままだとこの国ごと飲み込まれるぞ!」 「うそだろ。おい、グレン!あれは流石に俺の黒帝剣技でも止める事は出来ないぞ!どうするんだ!」 カイルは異常な成長を果たす黒い根っこが恐ろしくて焦っていた。 しかし、グレンはこれを見ても動じずカイルにこう言った。 「大丈夫だ。お前、あの根っこの成長を妨げ続けろ。その間俺は魔力を高めておく。」 「はあ!?どうやってだよ!」 「簡単な事だ。お前の絶対領域で根っこを斬り続ければいい。止める事は無理でも根っこが侵食する事はないだろ。」 「それくらいなら出来るが、お前あの根っこの成長を止める事が出来るのか?」 「出来る。だからとっととあの根っこを斬りまくれ!」 カイルにそう言うとグレンは黒炎を刀に纏わせ、魔力を溜め続けた。 そしてカイルもグレンが言った事を信じ、黒い根っこを斬りまくる。 「うおおおお!!!!」 カイルは絶対領域を広げたまま黒い根っこを斬りまくっていた。 しかし、黒い根っこは斬られても成長が止まる事はなく、侵食しようとしていた。 「はぁ、はぁ、うお!!…くそ!なんて成長速度だ!斬っても斬っても追いつかねぇ!フンッ!」 カイルは黒い根っこを斬り続ける手を休める事なく斬り続けた。 しかし、いくら神級魔導師だからと言って魔力がなくなる事は無くても剣を振るう体力がどんどんと消耗していくのは見ただけで誰でも分かる。 「おいっ!…グレン…フンッ!…一体…いつま…で!魔力溜めてるん…だっ!」 「…そうだな…あと、7分は掛かるな。」 「なっ!…そんなに…待てねえよ!」 「待てなくてもいいさ。待てなければこの国の人間全員死ぬだけだ。」 「なっ!?…フンッ!…くそぉ!!…俺は騎士だ!だったら全員護ってやるよ!」 「さすが騎士団団長だな。やる事も言う事も他の騎士とは違うな。」 口ではこう言うカイルも体はもうボロボロで立っているのもやっとの状態だった。 くそっ!…体が思う様に動かせない!…このままだと本当にマズイ… カイルはそう思いながらも歯を食いしばりながら剣を振るった。 しかし、何度も振ってるせいで手に出来た血豆が破れて血が流れ、腕の筋肉が痙攣し始めてきた。 マズイ…腕が震えて感覚が鈍く… 手に力が入らなくなったカイルは誤って剣を一本落としてしまった。 あっ…しまっ…た… その瞬間、黒い根っこの成長速度が一気に上がった。 「やっ…やばい!…くっ!」 カイルは一気に侵食してくる黒い根に焦り、もう片方の剣で食い止めようと両手で剣を強く握りしめた。 「うぉぉぉぉお!!!」 カイルはがむしゃらに剣を振り回した。 手から血が出て、筋肉が痙攣して震えていても剣を振るう事を止めることはなかった。 (あの人間なかなかやるな!騎士団の団長っていうのは根性なしの傲慢なクズだと思っていたがあいつは本物だな。) グレンの中で見ていたリフェルはカイルの必死さを見て感心していた。 「感心してる場合じゃないわよ!このままだとカイルさん死んでしまうわ!」 (死なねーよ。てめーも人間ならよく見てろ。覚悟のある人間の勇姿をよ!) リフェルの言う通り、カイルはボロボロになりながらも諦めてはいない。 この国を護る、そして1人の人間として決して諦めないという心がカイルに力を与えているのだ。 俺は…俺は諦めない!絶対に諦めたりはしないぞ!この国は絶対に……この国を…エミルが愛したこの国を俺は守ってみせる! カイルの頭の中で短い髪をした女性のシルエットが浮かんだ。ライクとニケルは城の裏側にある人気の無い場所へと移動した。 後ろから尾行していたロゼアは壁に隠れながら、ライクとニケルが話をしているのを覗き込んでいた。 …側から見れば只のストーカーにしか見えない。 壁の向こうではライクから先に声を掛けていた。 「で?どうしたんだよ。さっきも、お前一言も喋らなかったし。」 先程の会話でも、ニケルは浮かない顔をしながらグレンやグロードの話を聞いていた。 その理由は。 「…僕達とグロードさんの関係って、これからどうなるのかなと思って。」 「グロードとの関係?」 何を言ってるのか分からないライクだが、ニケルはそのまま説明を続けた。 「大恩あるグロードさんの事を、僕はずっと亡くした父親の様に思ってた。本当の父親じゃ無い事は分かってる。だけど、まるで親子みたいな今の関係性が僕は好きだったんだ。」 「けど、生き別れた本当の息子であるグレンが戻って来たら、もうそんな関係には戻れないのかなって…。」 ニケルの悩み。それは本当の息子であるグレンが戻ってきた以上、自分達はグロードの息子の代わりにはなれないという事である。 また今までの関係性も変わってしまい、もうグロードに相手にされないのでは無いかという不安もあった。 「勿論、グレンと再会出来た事は僕も嬉しいけど。…やっぱり良いな。本当の親が生きてるのって。」 月の民殲滅戦で両親を亡くしてるライクとニケル。特にニケルは子供の頃は甘えん坊であった為、親への未練はライクよりも強い。 親の居ない2人にとってグロードは父親同然。しかし、本当の父親になる事は出来ない。 そう思うとニケルは、少し寂しく感じていた。 それに対してライクは。 「ニケル…お前の言う様に、あいつは俺達の父親じゃねえし、俺達があいつの息子代わりになる事も出来ねえ。」 「……」 「でもよぉ、俺達とグロードとの関係性は何も変わらないと思うぜ。」 「…え?」 落ち込み俯いてたニケルはライクの顔を見た。 「俺もあいつの事は父親みたいに思ってたけど、どっちかと言えば師匠に近い感じだな。それに、あいつは面倒見が良くて、いつも丁寧に俺達の修行に付き合ってくれた。」 「優しい奴だからさ、例え息子が居ようと俺達との師弟関係まで変わる事はねえよ。」 「ライク…
魔導兵器ラウスを倒した事と、北の軍事兵器もグロードが破壊した事により、北の大国が今後攻撃してくる事は無いだろう。北の大国は多くの軍人と軍事兵器を失った事により、いずれ国の財政が崩れ破綻に追い込まれる事となる。戦う力を失った北の大国ウンディーネは結果的に敗戦国となり、これにより東北魔導大戦は事実上終結する事になる。しかし東の大国も無傷という訳にはいかず、今回の魔導兵器ラウスとの戦闘によって沢山の死傷者が出ていた。それだけではない。東の大国の主戦力が戦っている間、手薄になった城内にて更なる事件が起こってしまう。ノーム王の暗殺。戦いが終わった後、城内へ行くとそこは戦場と同じくらい凄惨な状況となっていた。医療班の人も殆どが殺されており、警備の者達に関しては、肉体が残っていれば運が良かったと思えるくらいバラバラに殺されていた。一体誰が実行したのかは不明。しかし、こんな事をするのは1人しか居ないとグロードは気付いていた。「…ベリエル!」見たところ胸部を刺殺(しさつ)されて殺されている様に見えるが、医療知識が豊富なグロードはノーム王の身体を少し触れただけで他の殺害方法で殺されたのだと判断する。「…内臓が全て潰されている。まるで身体の中をかき混ぜられたかの様に……許せない。」あまりにも残酷な殺し方をされている為、グロードは沸々と怒りを覚えた。この場には他にグレン、ミーナ、エミル、ライク、ニケル、フィナ、ネル、そして八握剣(やつかのつるぎ)のギンジが居た。カイルとロゼアとアルバスは意識を取り戻したが、戦いで受けたダメージが大きく、今は休んでいる。他の八握剣(やつかのつるぎ)も同様に、命に別状は無いが大掛かりな治療が必要な状態である為、カイル達同様にこの場には居なかった。ノーム王が殺されている姿を見て先に悲しんだのは、当然八握剣(やつかのつるぎ)のリーダーであるギンジであった。「ノーム王…くっ…何で、こんな事に!」ギンジは両手を握りしめ、悔しさと悲しみで顔を横に向きながら涙を流していた。王の懐刀である八握剣。そのリーダーともあろう者が他のメンバーを救えず、更には王の命さえも守る事が出来ず、ノコノコと生き残ってしまった。ーー俺のせいで…役立たずにも程がある!しかし、それに対してミーナが。「ギンジさん。自分のせいだなんて思わないで下さい。皆んな
そして更に4年後。ラウスは18歳になり、ルーファスは9歳となる。ラウスは高校3年の学年となり、全ての成績において優秀な成績を収めていた。幼い頃から教えられた事は殆ど完璧にこなすその姿を見て、いつしかラウスは神童と呼ばれ将来を期待される様になる。しかし、ラウスは魔法を仕事にする道は選ばずそのまま農作業を営み続ける道を選んだ。当然教師はラウスを説得するもキッパリと断った。自分の将来の夢よりも、ルーファスの側にずっと居る事の方が大事だったからである。こうして学生の頃はそれなりに有名だったラウスは、突如として公の場から姿を消したのだ。一方、ルーファスもラウス同様に成績が良かった。ラウスが合間を縫って勉強を教えているのもあるが、どうやらルーファスも少し教えればすぐ覚える事が出来るのだろう。「(流石は俺の弟だな。)」勉強を見ていたラウスは心の中でルーファスを誉めていた。ある日、ルーファスはこの家に元々住んでいた老夫婦の写真が飾ってある仏壇を見て質問してきた。「兄さん。この人達って、僕達とはどういう関係なの?」あの頃、まだ赤ん坊だったルーファスはこの家に元々住んでいた老夫婦の存在を知らない。「この人達はね、俺達の親みたいな人だよ。本当の親じゃ無いけど、親のいない俺達の面倒を見てくれた人だ。」亡くなった老夫婦の事をラウスは自分の親だと思っており、ラウスにとっては生きていく術を教えてくれた恩師でもあった。「そーなんだ。…じゃあ、僕達の本当のお父さんとお母さんは?」1番聞かれたく無い質問をルーファスは悪気なく聞いてくる。当然である。ルーファスは親の事を何も知らない為、本当の親が気になるのは当然の事。…そっか、あの時お婆ちゃんはこんな気持ちだったんだ。そりゃ、言いたく無いよね。ラウスはルーファスに聞かれた事により、あの時のお婆ちゃんの気持ちが少し分かった。あの時から親の事はあまり思い出さない様に生きてきたラウス。正直、あまり親の事を聞かれても何て言ったら良いのか分からなかった。只、ラウス自身が抱いてる気持ちとして言った。「…ロクでも無い人達だよ。父親は俺と母親を置いて出て行き、残された母親も親の責任を放棄して出て行った。」まだ子供に言うべき事では無いのだろうが、ついつい自分の感情任せに言ってしまったラウス。「そうなんだ。…でも僕、少し会
お母さん…何で帰って来ないんだよぉ…。俺1人でどうしたら良いの?どれだけ待っても帰って来ない母親のヒスイ。既に半日以上待っていたのだが帰って来る気配が無い。ラウス自身、半日以上何も食べていない為、空腹が限界を通り越していた。「おぎゃー!!」泣き叫ぶ弟のルーファス。生後3ヶ月の赤ん坊。お腹も空くし、オムツもしてるから替えてあげないといけない。その他にも、身体を清潔にしないといけない。…どうすれば…。ラウスは寝室で泣いているルーファスの所へ行き、様子を見た。「おぎゃー!おぎゃー!」「凄く泣いてる…こんな時、お母さんどうしてたっけ?」ラウスは普段、母親がどうやってルーファスの世話をしていたのか思い出していた。そしてヒスイが何をしていたのか思い出したラウス。「…まずは、オムツかご飯か。どっちかだけど…嫌だなぁ、オムツの匂いを嗅ぐのは…」それでも我慢してオムツの匂いを嗅ぐラウス。「…多分こっちじゃ無いか。じゃあミルク作らないと。」ラウスは台所にルーファス用のミルクが保管されている所を覚えていた為、そこに行ってミルク粉と哺乳瓶を取り出す。「えっと…先にお湯を温めるんだっけ?」初めての事でどうすれば良いか分からないラウス。しかし、取り扱い説明書があったので、それを見ながら何とか作って哺乳瓶に入れる事が出来た。「よし!後は水で冷まして…よし!」人肌まで冷まし、ラウスはそれをルーファスに飲ませる為、ベッドから起こした。「おーよしよし!ミルクだよ〜。」ヒスイが言ってた様に真似しながら、ルーファスにミルクを飲ませてあげるラウス。ルーファスは勢いよくミルクを飲んでおり、よっぽどお腹が空いていたのが見て分かる。半日、何も食べなければ大人でもお腹が空くに決まってる。「俺も何か食べないと…。」そう言ってラウスは戸棚にある非常食を取り出し、空腹を埋める為にそれらをお腹に詰め込んだ。見たところ、非常食やミルクの量から数日は持つだろうと判断した。しかし、この食料が無くなったらどうしようかと。ラウスはそれが恐怖で堪らなかった。「どうすれば…後、お金だけど。お母さんの貯金でどれだけ過ごせるのか…。」勝手にお金を使う事に抵抗感があるも、生きる為には仕方ないとヒスイが管理してる通帳を確認する。子供では見た事の無い数字に驚くラウスであったが、実際の
真っ暗な暗闇の中。1人の女性が下を向きながら何かを覗き込んで泣いていた。「…ラウス……ルーファス……どうして、こんな事に…。」その女性はヒスイであった。ここは死後の世界であり、この暗闇の空間は死後の世界へ行く前の道。死後の狭間である。ヒスイは死後の世界へは行かず、死後の狭間にある暗闇の空間で家族を見守りながら待ち続けていたのだ。そして現世を見ながら自身の息子達が戦う姿を見て涙を流していた。すると後ろから。「…2人が戦っているのか?」その声の主はヒスイの父親であり、グレンに龍技の真髄を教えた竜の民のドグマであった。後ろからドグマに言われたヒスイは、涙を流しながら振り返る。「…お父さん。」「ヒスイ。…お前も辛いのは分かるが、今の俺達には見守る事しか出来ない。」そしてヒスイの隣に座り、現世で戦うグレン(ルーファス)とラウス。2人の戦いを覗き込む。「信じるしか無い。グレン…いや、ルーファスの事を。そして、あいつの強さを。…きっとあいつが兄を救ってくれる筈だ。」ヒスイはグレン(ルーファス)が生後3ヶ月の時にこの世を去った。ドグマもヒスイが家を出てから、自分に孫が居る事も知らずに30年間虚しく過ごしてきた。しかし、その孫であるグレン(ルーファス)は偶然にもヒスイの父であるドグマと出会い、龍技の真髄を教えてくれた。運命が知らない内に引き合わせてくれたのだ。そして今、ドグマに教えられた龍技の真髄によりグレンは、魔導兵器となり殺戮の呪縛に囚われた兄ラウスを救う為に戦っている。自分の弟子であり、孫でもあるグレンをドグマは信じていた。「(グレン。お前の生き様を、今こそ見せてくれ。)」ドグマの墓前で言ったグレンの誓いに対し、心の中で返答した。信じる事しか出来ないヒスイとドグマは、ラウスとルーファスの行く末が少しでも救われる様に、両手を合わせて祈る。あの世でヒスイとドグマが見守る中、現世ではグレンとラウスの死闘が繰り広げられている。戮力体竜変(りくりょくたいりゅうへん)によって竜人化したグレンは先程とは違い、身体機能が大幅に強化される。自然魔力を体内に取り込む戮力体竜変。それにより身体に現れた竜の鱗は鋼をも上回る強度を誇る。その拳でラウスの胸部を殴る。バコォォォン!!!グレンの拳により、ラウスの硬い胸部は拳大の大きさに凹んだ。グレ
ミーナ達はネルの空間移動でカイルやエミルの救出に向かっていた。エミルはアルバスとロゼアを氷で作った台車に乗せて運んでいたが、その途中で見つけられる。意識を失っていたアルバスとロゼアはミーナの光の回復魔法によって意識を取り戻した。「あれ、ここは…。」目を覚ましたロゼアはゆっくりと目を開ける。「お、気が付いたか!大丈夫か!?」視界に入ってきたライクは心配そうに声を掛け、その声で徐々に意識がハッキリしてきたロゼア。「え…何で…?ライク?」「ああ。俺達は丁度さっき戻ってきた所だ。大丈夫か?」「…心配、してくれてるの?」今まで北の大国では心配される事の無かったロゼア。半分信じられないといった感じでライクに聞いた。「ああ。お前も俺達の代わりに戦ってくれてたんだろ?俺達が不在の中、良くやってくれたぜ。本当に感謝してる!」ライクは笑顔でロゼアに言うと、ロゼアは嬉しさで左目からジワッと涙が溢れてきた。ライクの笑顔を見れて良かったと、安心していたのだ。ネルも同様に、目を覚ましたアルバスに一言声を掛ける。「…僕との約束、ちゃんと守ってくれたね。」「…ごめん。倒す事は出来なかった。」「仕方ない。後はあの男(グレン)に任せよう。」短い会話ではあるものの、ネルは約束を守って戦ってくれたアルバスに感謝した。そして次はカイルの所にも空間移動した。転移した場所でカイルはボロボロの状態で倒れていた。ミーナとニケル。2人の回復魔法を使ってようやく意識を取り戻したカイル。普段タフなカイルであるが、意識を取り戻してもその声はか細く弱々しかった。「…みんな…帰ってたのか?…」「カイル君!エミル、カイル君が目を覚ました!」意識が戻った事を確認したミーナは慌ててエミルを呼んだ。エミルも慌てながらカイルの顔に近づいた。「カイル!」「エミル…良かった…無事だったのか…。」「馬鹿!いつもいつも!自分の事を後回しにして!本当に馬鹿!」ボロボロと涙を流しながらカイルに対して言うエミル。それに対してカイルは一言。「…ごめんな。」そうエミルに言うと、エミルは更に号泣しながらカイルの胸元で泣きじゃくった。「カイル君。連絡してくれてありがとう。今ね、グレンが戦いに行ってるの。」「グレン…そうか。なら、安心だな。」そう言うとカイルは安心した様に目を閉じて眠った
「エバルフさんの悪魔化が…解けたぞー!」 「「うぉぉぉ!!でかしたぞお嬢ちゃん!!」」 エバルフの悪魔化が解けたことで部下たちは喜び叫んだ。 グレンはミーナがエバルフの悪魔化を止めれた事を未だ信じられないのか唖然としていた。 「信じられんな…ただの人間が悪魔化を阻止するなど…」 (まったくだ…てめえですら悪魔化を阻止できた事ねえのによぉ) グレンの悪魔もグレンと同じくミーナの行動を感心した。 「…何てことだ…あの人間の悪魔化を…」 悔しそうな顔をしながらブツブツ独り言のように喋るロフィス。 そして一気に顔の表情を強面に変えて。 「よくも俺達の計画を…3年
「お兄ちゃん!助けてー!」 「待ってろ!すぐ助ける!…くそっ、騎士団より悪魔が多すぎる…」 理由は分からないが突如現れた悪魔の大群は町に現れ、たくさんの人々を殺戮していた。 俺はちょうど騎士団の仕事でこの町にいたので仲間と共に悪魔に対抗していた。 大半の悪魔は倒したはずなのだがどういう訳か悪魔は増える一方でエバルフ達は苦戦していた。 その目の前には妹が悪魔に取り囲まれていた。 「エバルフさん!悪魔が多すぎて我々じゃとても…」 「くそっ、団長がいればいいんだが今あの人は他の任務だからな。どうすれば…」 エバルフが悩んでると妹を囲んでいた悪魔が妹を切り刻もうと爪を振
この世界には悪魔がいました。 悪魔は夜にしか活動出来ないが生まれつき力が強く、人の心臓または目を好んで毎晩人を襲いました。 そんなある日1人の男が悪魔をこらしめました。 その男はこの国の王子様…否 この世で一番、悪魔に近くそして心無い男だった。 「…!はぁ…はぁ……何、今の夢。」 確か小さい頃読んでた絵本の内容だったけどすごく怖かったような… 「おはよぅ…」 「おはようミーナ。もう体大丈夫なの?」 「体?そういえば私、気絶してしまったんだね。全然覚えてないな」 昨日玄関前で気絶してからミーナの母親はミーナを家の中まで運びベットに寝かせたのだった。 一
あの後グレンは一人で帰れそうにないミーナを家まで送り届け、今はこの町のはずれにある裏山みたいなところでパンをかじっていた。 (人の血を見た後によく飯が食えるな。) すると周りには誰もいないはずなのにどこからか声がした。 「…お前に言われたくない。」 誰もいない空間に対し返事をするグレン。端から見ると独り言を喋ってるかのようだった。 (ハハハ!それは違いねえな!てか昨日もそうだったがあの女、ミーナだったか?お前にしちゃ珍しく一人の女をやけに守ってたようだが何かあんのか?) 「…いや、別にない。ただあの女は俺に剣術を教えてくれた俺の師匠の娘だからだ。」 (あー、あのおっ